三夕(さんせき)の歌 2016.11.08 お店に持ってきた色づいた楓の盆栽もたった2日で色味は薄くなりチラホラ散り出してしまいました。盛りは一瞬で、刻々と季節は移ろいでいきます。 散りいそぐ楓の盆栽をみていると秋の夕暮れを詠んだ、藤原定家の歌が浮かんできます。見渡せば 花も紅葉もなかりけり 裏の苫屋の 秋の夕暮れ秋の寂しさが感じられる歌です。調べれば、これは「源氏物語」の明石の巻の一節を思いながら詠んだ歌だそうで、静寂な夕暮れ時の質素でわびしい苫屋の風情が、僕達がよく知る「侘び」「寂び」の言葉の意味合いと通じているそうです。西行法師、寂蓮法師、藤原定家の三人が秋の夕暮れを詠んだ有名な歌の一つで「三夕の歌」と呼ばれています。